ハイカイ台湾

台湾うろうろ from 2007

世界盃

世界盃、すなわちWORLD CUP

6月6日にFIFAワールドカップ26アジア2次予選、台湾対オマーンを観てきた。場所は台北のTAIPEI STADIUM(臺北田徑場)。台湾人の友人にサッカーを観に行くと言うと、「サッカーなんてないやろ?」「どこ対どこ?」「台湾?(チームあるん?)」「こんなでかい缶ビール持ってくんやろ(笑)」と返された。私はビールが好きだし、それを覚えてくれているのはうれしいが、「缶の持ち込みは無理ですわ」と思った。

 

スタジアムの階段の上り口に「球迷入口」。ラビリンスではなくエントランスか

缶ビール。たしかに、2013年に台湾のトップリーグを観戦したときは、缶ビールを堂々と持ち込んで飲めた。入場は無料で、手荷物検査なんてなかった。観客は20人くらいだったと思う。あれから11年が経ち、しかもFIFA主催試合。缶は無理だろ。そんな常識は通用しなかった。今回チケットこそ有料だが、手荷物検査はなし。席に着くと右斜め前からプシュッと聞き慣れた音が聞こえた。客が缶ビールを開けて飲んだ。左側からもプシュッと聞こえた。缶ビールを両手に持って歩いているやつもいる。なるほど。FIFAうんぬんの前に、ここは台湾ということか。

 

間違いなくFIFA

屋根あるのに雨

客席の階段に草

スタジアムには想像以上に観客が入っていた。すでに台湾の予選敗退が決まっていたにもかかわらず。雨にもかかわらず。ゴール裏の人数は少なかったけれど、メインスタンドとバックスタンドはそこそこ埋まっていた。試合終盤の発表では観客数5,700人。キリのよさがなんか怪しかったけれど、そのくらいはいるように見えた。

 

時間表示でかいしゼロの下のほうドット抜けしてるし(台湾ゴール裏)

ぴったり5,700人(オマーンゴール裏)

台湾代表のユニを着た客もちらほらいた。私も2017年に台北の場末のサッカーショップで買ったユニを着た。欧米系の客も多かった。仕事かなにかの理由で台湾に住んでいるのだろう。台湾のユニを着て、Go Taiwan!とかCome on!とか言って、ジャッジにブーイングしているのはイギリス人だろうか。そいつの小さな息子はアーセナルのユニを着ている。バルセロナミランのユニを着た人もいた。アルゼンチンっぽいのもいた。ロナウドのもいた。野球っぽいJAPANもいた。台湾が「細かいこと気にしなさんな」と言っている。台湾が「サッカーって祭りやろ」と言っている。

 

パーティバーレルか? その下はピザか?

試合は実力で勝るオマーンが攻めた。台湾のファンはメインスタンドもバックスタンドものびのび一喜一憂した。前線にパスが入り、ハーフウェイラインを超えただけでも、こっちが攻める番や!といった感じで歓声が上がった。失点には悲鳴が上がった。バックスタンドでは、どこからともなく手拍子やチャントが発生し、厚みはないが広がった。メインスタンドから太鼓と子どもたちのチャントが聞こえてきた。ゴール裏ももちろん応援していた。Jリーグでも馴染みのあるメロディがいくつかあった。スタジアム全体だとバラバラだったし、ゴール裏がスタンドの応援に合わせてくることもあった。台湾はポストに当たる惜しいシュートも放ったが、0-3で負けた。バックスタンドに選手たちが挨拶に来て、観客は拍手を送る。うなだれる選手たちの中に笑顔で手を振る選手がいて、負けたのに不思議に思えたのだが、そういうのもありな気がした。

 

生ビールを飲んだあと

オマーン側の通路のごみ箱

ハーフタイムのグッズ売り場

メインスタンド側の外観

おわり

包子

帰国日に包子商行 BAO SO HARDの中華まんを食べた。包子はパオズと読み、中華まんのこと。名前買いなんだけど、とてもおいしかった。その前に、台北駅で搭乗手続きと手荷物預けができるインタウンチェックインを利用した。私にはちんぷんかんぷんで妻とスタッフさんに任せっきりだった。

 

自動手荷物預け機(私のスーツケース)

確認画面(妻のスーツケース)

荷物がX線検査を通過するのを確認したら終了だった。待っていたら、左の画面に食事を持ったスタッフさんが横切るのが映った。「very busy」なのだそうだ。冗談だろうか、半分本当だろうか。

 

そして私たちもvery busyな日常に帰るべく、最後にBAO SO HARDへ。チキンチーズまん(雞肉起司包)と胡麻まん(芝麻包)を買った。

 

地上に出て、台北駅を眺めながら食べた。このために台湾に来た、は言い過ぎか。でも「自由っていったいなんだい、どうすりゃ自由になるかい」とひたすらに叫んだ彼に伝えたい。「台北駅を眺めながら中華まん食べてみ」と。

おわり

テーブル

テーブルが斜めっていてウェットティッシュを敷かないと缶ビールが左方向に滑り落ちていくテラス席(路地脇)。店員さんがトレイに数人分の料理を乗せてやってきた。私たちの料理をテーブルに置くため、一旦、他の客の料理をテーブルに置く。そして滑り出す。手で押さえてあげたら、店員さんは笑ってなにか言った。適当に見つけて行ってみた東引小吃店。料理はおいしかった。店員さんは親切だった。ただテーブルの傾斜にはじまり、「小」じゃないでしょってくらい量がもりもり、きわきわをバイクや車が走っていく、雨どいに残った雨粒が背中に落ちてくるなど、プチ想定外が多数。台湾を知った気になるなよ、と言われた気がした帰国前日の夜。

おわり

バス2024

台湾のバスは速い。宿泊したホテルの送迎バスも速かった。停留所で待っていると、お腹を壊した人がトイレに駆け込むときの勢いでやってきた。そして、ホテルに向かってまた凄い勢いで飛ばすのである。マッサージ屋のおじさんに便利だよと勧められ、路線バスにもトライしてみた。わかったのは、やっぱり速いということ。急停車・急発進は基本中の基本。ブレーキの余波で座面からお尻が滑る滑る。ただ確かにめちゃくちゃ便利なのだ。あたりまえのことを言うけれど聞き逃さないでほしい。MRTの駅がないところにもバス停がありまくるので、MRTの駅がないところにも行きまくりなのだ。そして台湾の人たちは、降車時のICカードのピッ(読み取り部へのタッチ)を、バス停に着くだいぶ前にやりがち、ということもわかった。せっかちなのか、合理的なのか。ちなみに停留所で乗りたいバスが来たら、手を挙げるのが台湾ルール。

 

運転は荒い。揺れる揺れる

バイクきわきわ

車窓からの兄弟大飯店

街の景色を眺めながら移動するのって贅沢よね。

おわり

橙柚青茶

蒸し暑かった。ホテルへの帰り道、よく知らないけど「あれが飲みたい」と立ち寄った。陳又青というお店。よく知らないから一番人気の鮮橙柚青茶を注文した。すっきりしたお茶にぷるぷるのオレンジゼリーみたいのが入っていた。橙柚青茶とは。Green Again Teaとは。よく知らないけど気に入った。

 

夜の陳又青

おわり

3人のレディ

台湾12回目にして、あの圓山大飯店に泊まってみた。あのバカでかいホテル。あの妙に華やかなホテル。その中にある第一夫人珈琲という名前のカフェで、ファーストレディな気分でひと休みした。注文したフルーツティーを、店員のおばちゃんが席まで運んできてくれた。私は「謝謝」と受け取った。するとおばちゃんは中国語でペラペラと話し始めた。私はキョトンとしつつ最後まで聞いて、妻に「わかった?」とたずねた。おばちゃんはそこで私たちが日本人だと気づいたようで、あちゃ〜!こっちの人やおもてごめんごめん的な素振りで爆笑しながらあやまってきた。

いやいや大丈夫ですよ、それより私の「謝謝」、こっちの人ばりにナチュラルだったでしょ。私は中国語を話せないけれど「謝謝」だけは忘れないようにしているものだから、知らず知らずのうちに発音が磨かれたのかしら。你好と謝謝でなんとかやらせてもろてます(すべて心の中にて)。

おばちゃんは気を取り直し、今度は英語で話し出した。私は英語もできないのだが、セルフサービスだからね、飲み終わった食器はあっちの返却口に戻してね、と伝えたかったようだ。フルーツティーは羅漢果という植物を使った熱羅漢果茶(モンクフルーツティー)。漢方っぽいクセを感じたが甘くておいしかった。なぜかいつまでも熱くて牛歩のように飲み進めたが、量も結構あったので急遽テイクアウトさせてもらった。

 

圓山大飯店の部屋は言うまでもなく豪華だった。引き出しを開けるとワイングラスが入っていて途方に暮れた。アメニティグッズを購入できるというのも私たちには新鮮だった。記念にタオルトレイがほしくてコンシェルジュ(内線1810)に電話したら、スタッフのおばちゃんに歯ブラシ4本を持ってこられた。自分の英語力にびびったが、タオルトレイの実物を見せながら説明したらわかってくれた。おばちゃんは笑っていた。

海外で日本語しか話せないとなると、飲食や買い物をするだけでコミュニケーションはギクシャクしがちだ。でも台湾の各所で出会う人たち、なかでも大体おばちゃんは、その摩擦を楽しんでくれているようだ。相手が外国人だからだろうか。こんな客ばかりだったら面倒だろうな。これが日常だったらお互いに効率を求めるだろう。きっと一度しか出会わないおばちゃんとの触れ合いが、とても贅沢なものに思える。ヒヤヒヤしたりもするが、当たって砕けるのも楽しい。

帰りの桃園国際空港。トイレで手を洗ったあとの私に、洗面台を掃除していたおばちゃんが話しかけてきた。ペーパータオルはここだよ、と。手を拭いたら、ゴミ箱はここだよ、と教えてくれた。ペーパータオルもゴミ箱も埋め込み式で確かにわかりにくかった。私が日本語で「ここかよっ」とつぶやくと、おばちゃんは片言で「ここかよっ」と復唱した。

おわり

ゴッホ

梵谷と書いてファン・ゴッホと読む。谷がゴッホということか。2024年6月、台湾で最も長い書店街だという中山地下書街「誠品R79」にて。通路の片側が誠品書店。ずっとずっと誠品書店。とにかく長い。そして細長い。

おわり